Young river(ヤングリバー)
夢の魚

   


南島屈指ニジマスの川 ヤングリバー 

ニュージーランド南島はブラウントラウト天国といえるほど、
上から下まで、どの川にもブラウントラウトがいる(いない川もある)。
釣り人からみればこの上ないことだ。
けど、引きの強いニジマスもやっぱり釣りたい。
ニジマスが釣れる川となると、南島の場合、
上下に湖がある川か、その支流に限られてしまう。
そんなブラウン天国の南島で、大きなニジマスが釣れる川を見つけた。
それがヤングリバーだ。
ヤングリバーは、ワナカ湖に流れ込むマカロアリバーにそそぐ。
周辺の川にもニジマスがいるけど、
テントをかついで山ごもりをするには、ほどよい大きさの川で、
02年1月10〜12日2泊3日で大きなニジマスを釣ってきた。




           

ヤングリバーへの第一の関門は、マカロアリバー本流を渡らなければならない。
夏の平水期なら問題なく渡れるけど、
雨の後はヤングリバーへの入り口が閉ざされてしまう。
ヤングリバーの入り口から車で5分ほどのマカロアのビジターセンター(電話)で
マカロアリバーの水位を教えてくれる。
帰りの天気も聞かないと帰れなくなる。

マカロアリバーを渡ることができたら、
ヤングリバー左岸(下流を向いて左)についている、トレッキングコースを歩く。
オレンジマークにしたがって、奥へと歩く。
2時間ほど歩くと、それまで谷が狭まったゴルジェの中を流れる川が、
谷が開け、穏やかな川に変身する。
車からだと、3‐4時間のトレッキングである。
平らな場所を見つけて、テントを張った。

ブナとシダが混生するやや湿った森で、
水は心も洗われるほど、青く澄んでいる。
フライフィッシングにちょうどよい大きさの川で、
来ただけでも十分幸せな気分にしてくれる。
ゴルジェを抜けた場所から、約7km区間が面白い釣り場で、
さらに上は、再びゴルジェに行く手を阻まれ釣りができなくなる。
この区間を2日間かけてのんびりと釣った。




夢の魚

2日間釣って、私が62,63cm他1尾。広兄が62,65cmを釣り(すべてニジマス)、
満足の釣りを終えて、ビールと夕食のことを考えながら、テントに戻る時だった。
トレッキングコースからよく見える大きなプールを、歩きながら見ていると、
何尾かの魚が流れの中で動き回っているのが目に入ってきた。
何かを食べているようだった。
「うーん、どうしようか?」釣りにはもう満足したし・・・
二人で悩む。
「餌取りもしていることだし、やってみるか?」、と決定。
川を渡り、私は支度をするのが面倒だったので、広兄が魚に近づいていった。
泳ぎ回る魚は、ぼんやりとしか見えなかった。
「まあ、60cmくらいかな?」。
まずは、セミフライで…
反応がない。
「それじゃあニンフだ」。
セミフライの下に1mほど、ティペットを結び、
ガン玉ヘッドのフェザントテイルニンフをぶら下げた。
何度目かでフライがうまく沈んだらしく、ぼんやりとした影が近づいてきた。
同時にセミフライが引っぱられて沈んだ。
「広兄、食ったんじゃないの?」、
という私の一言に、広兄の竿が大きく曲がった。

 

気合十分でシャッターチャンスを狙う私。
面倒くさそうに魚の引きに耐えている広兄。
なかなか寄ってこない魚。
辺りは薄暗くなり始め、リールが響き、腹も鳴る。
思ったよりも大きな魚に、時間がかかる。
100mほど、流れ下った魚を、やっとのことでネットにすくい入れた。
この時初めて見せた、魚の横っ腹を見て2人して止まった。
「‘魂を抜かれる’とはこういうことを言うんだ」とわかる、衝撃というか驚きだった。
「いったよ。」



        

やっとのことで口から出た言葉は、夢の魚が現実の魚になったことを認めていた。
11ポンド、70センチの川の宝石だった。
無駄な肉のない張りのある体は、力強く、たくましく。
尖った口先に、刃物のように鋭いひれ、
えらから尾びれにのびる、うすピンクの装飾。
文句のつけようがない。
「おまえもがんばって、こんな体つきになってみな」と魚が言った。
そして、辺りは暗くなった。
ヤングリバーでの、山こもりだった。

02年1月20日 okuruより

     
          火をおこしてコーヒーを飲む



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